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MJDとは何か?

 通勤途中、品川駅に近づく辺りで、ボクの乗った電車が、修学旅行の貸し切り電車と、しばし併走する。中学生だろうか? 神奈川方面から来るわけだから、西日本のどこかからだろう。多くの子たちがこっちにしきりに手を振っている。
 可愛い。が、しかし、あの一群と駅のホーム、あるいはホテルのロビーで遭遇しちゃったら――やっぱり、耐えられんだろうなぁ。ふるさとは遠くにありて思うもの。修学旅行の子供たちは、電車中にありて、眺むるもの。
 2年生の授業。前半は脊椎、特に頸椎の機能解剖学。
 ここの出っ張りが何々で、あそこのへっこみがコレコレだ、というのが普通の解剖学。これに対して「機能」解剖とは、ここにはこういう動作でこういう力がかかって、だから事故の際にはここが切れる、潰(つぶ)れる、などという感じのものだ。つまり、字のごとく、体の機能(動きや負荷)に力点をおいた解剖学である。
 後半は、ボクがやってきた治療のシミュレーションを真似して、学生同士2人1組になって練習してもらう。問診、動作テスト、筋肉と骨格の触診、MJDのリリース、動作テストをもう一回、といった流れである。
 MJDとは? Myo-Joint Dysfunction、筋・関節機能不全である。
 筋肉の異常な緊張があり、それそのものが痛い。緊張を続けた筋肉はトリガーポイントという「しこり」を、その中に持つようになる。で、このトリガーポイントというやつ、そこから離れた所にも痛みを「飛ばす」 これを関連痛と呼ぶ。
 さらには、緊張した筋肉にまたがられた関節は、次第に動きを失う。これをフィクセーションとか、関節ブロックとか呼ぶ。
 関節が動かなくなることの何がいけないのか? まずその関節をまたぐ筋肉が短縮しやすくなる。筋肉や腱(筋肉を骨に結び付ける組織)は、日常生活の動きの中で自然に伸ばされることによって、柔軟性を保っている。が、関節ブロックが起こると、その自然な「伸び」が阻害されるからである。
 この他にも、関節が動かなくなることにはもう一つ、マズイことがある。固有覚が上がってこなくなることである。分からないでしょ? 説明しよう。
 関節が動くと、関節包(関節を覆う膜)から脊髄に、固有覚という感覚が上がってくる。固有覚とは、関節の位置や動きについての情報である。固有覚には、痛みの感覚を脊髄レベル(つまり脳に到達する前の段階)で抑える作用がある。だから、関節がブロックを起こして固有覚が上がらなくなれば、この作用が失われ、痛みが脳に直(ちょく)で届きやすくなる。つまり、イタイ。 
 まあそんなわけで、筋肉の緊張や隆起と、関節の動きの悪さは、だいたい同じ部位に生じる。これを一言でMJDと呼ぶわけだ。これを探し、リリース(柔らかく)すると、そういう練習をやるわけである。
 夕方、昼間部と夜間部の間に教室で、学生たちの自由練習にちょっかいを出しながら、夕食を摂る。鳥の甘酢がけ丼、サラダ、水。

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