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ローマ人の物語を読み通すために②

 久しぶりのゆっくり出勤で、午前11時30分出社。
 昨日の話の続きを。
 シーザーはローマの貴族にして、軍人にして、議員であったが、40歳を過ぎるまで、いずれの方面でも実績らしい実績を残していない。でも既に有名人ではあった。何故?
 理由その①=プレイボーイ。しかも熟女好き。相手から好かれ、かつ恨みを買うことが全くないという、不思議な人心収攬術の持ち主であったという。ローマ中の貴族の人妻という人妻が、列をなして彼と会う順番を待つようであった、らしい。
 理由その②=借金。要するに宝石やら家屋やら、じゃんじゃんプレゼントしちゃうわけ、彼女(たち)に。なんだそれなら、ただの金ずくじゃん、と、まあ言えないこともない。で、その総額が並みでなく、天文学的だった、らしい。
 その彼がどこへ行くか? ガリアである。ガリア?
 イタリアの北、アルプス山脈よりまた北の、当時はまだ半裸の人間が木の実を拾って食べたり、洞窟に住んでいたりという状態だった、今のドイツ、フランス、イギリスなどの辺りへ野蛮人たちの平定に行くのである。ちぎっては投げ、ちぎっては投げ、のシーザーの武勇伝は楽しく読めるはずです。これが第4巻。
 さて、ガリアで活躍するシーザーのあまりの強さと人気に、元老院(ローマの国会)が危機感を募らせる。何故か? シーザーは常々、以下のようなことを主張していたからだ。大きくなったローマを効率的に統治するためには、一人の人間が迅速に判断を下し、それが国政に反映されるようなシステムが必要だ。
 元老院議員たちは代々、議員の座を世襲してきた。だから、そんなことを言うシーザーに王にでもなられては、そりゃ困る。軍事的な天才でもあるその彼は、ガリアに何年もいるうちに、ローマの強大な軍隊を完全に掌握しちゃっている。恐い! 元老院はシーザーの帰国を不許可とする。
 今や国賊のレッテルを貼られた、救国の英雄(であるはずの)シーザー。押すべきか引くべきか? 彼は「押す」と決め、軍を引き連れて凱旋を強行する。ここにローマの国論を真っ二つに割っての内乱が勃発。これが第5巻である。
 シーザーは内乱に勝つ。が、独裁者にもならなかった。皇帝と元老院がバランスをとって政治を行う帝政、正に現在の大統領制、議院内閣制を目指して頑張った。ここら辺の明晰さが、古今を通じて「天才」と評される所以である。が、反「王政」の元老院議員たちによって、あっけなく暗殺されてしまう。
 さてここまで読んで、で、投げ出しちゃった(かも知れない)第1巻、3巻に戻るのは非常に面白いと思う。ボクはそうしました。
 日本人的感覚からすれば、シーザーみたいに頭が良くて腕っぷしも強い人が、グイグイ一人で国を引っ張っていってくれるっていうのは、いいじゃない、なんて思ってしまう。が、ローマ人はそう考えない。何故? それは第1、3巻あたりで描写される、国および政治体としてのローマの成り立ちに秘密がある。
 さあここまでくれば、もう君もローマ通だ。後はいくらでも独力で読めるでしょう。Good Luck。
20050528_005 2年生の授業。実技部分は、まだまだカルテをつけながらの治療の練習が続く。これ、もうしばらくはやります。スポーツと同じです。基本を身につけたら、あとは習熟を待って反復あるのみ。実践重視の大川カイロ、ビシビシいきます。
 夕食=鳥タルタルソース丼、サラダ、牛乳。

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