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ゆとり

 先日、Rくんが亡くなった。市立Z小学校に通う6年生の娘のクラスメイトである。脳性麻痺で、車椅子で登校するのを何度か見かけたことがある。
 彼は、医師が予測したより何年も長く、学校に行き続けることができた。先月は同級生たちと日光へ修学旅行にも行った。子供たちは、Rくんと一緒に修学旅行に行くことを「クラスの目標」としていたそうである。
 素晴らしいことだと思う。
 いわゆるゆとり教育に批判的な人は少なくない。確かにボクも、娘の学校の話など聞くと、驚いてしまうこともある。
 例えば通信簿の評価は、「できました」と「がんばろう」の2段階のみ。もちろん先生の絶対評価だから、全員「できました」もありうる。ボクらの頃は相対の5段階評価だから、5と同数の1があったわけで、そりゃ競争はこっちの方が激しくなろう。
 また、運動会には勝ち負けというものがないのだそうだ。駆けっこも、玉入れも、やるにはやるのだが、順位や点数を記録しない。だから勝ってバンザイも、負けてクヤシーもない。
 競争がない社会は堕落する、と「ゆとり」批判者は言う。が、Rくんと一緒に旅行することを自分たちみんなの目標にできるような子達が育まれたことには、「ゆとり」の力が大きかったろう。Rくんが医師が言ったより何年も長く学校生活を送れたのも、そんな友達に恵まれたからだろう。
 これが堕落というなら堕落結構。堕落じゃなくて、スローだよ、スローライフと、流行り言葉で切り返したっていい。Z小学校の子たち、オジさんは素直に羨ましいゾ。また彼らの将来にも全く悲観していない。科学技術が一通り行き渡った先の、より豊かな社会の担い手になってくれるだろうと信じている。
RIMG0005 Rくん、今度は温泉旅行でも行こう。下見でもしていてください。なに、百年もすればボクらもみんな残らずそっちの住人だ。写真は娘の友達によるRくんの似顔絵。
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RIMG0001 午前10:30出勤。2年生の授業=脊椎の機能解剖、頚椎の機能解剖。機能解剖とは? 解剖学が骨や筋肉の「単なる」暗記であるのに対して、体の各部の働きと構造を結びつけて考えるものだ。
 例えば、頚椎はこれこれの大きさであるが、その上に乗っている頭はこんな重さだ。これを胸椎と比較するとこうなって、だから頚椎は胸椎より負担が大きく、障害も生じやすい。障害っていうのは例えばこういうのだ――云々である。面白そうでしょ。
 続いて実技=リザルトパッケージをやって見せるのの(多分)最終回。次回からは(今度こそ)お互いにやってもらいます。
 リザルトパッケージとは? 動作テストをして、治療をして、また動作テストをするという一連の流れである。もちろん治療前と後とで動作テストに差がでなくてはならない、というか差を出すべく頑張るのだ。これも、単に型を憶えるのよりずっと面白い。

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